はじめに
結論から言うと、僕がフィリピン移住を選んだのは、「地理的な近さ」「英語環境」「生活コスト」「ビザの取得しやすさ」「医療」といった、挑戦のリスクを最小限に抑えながら、新しい人生をスタートさせる上で欠かせない10の理由があったからです。
40代半ばで無職という状況に陥った僕にとって、海外移住は単なる憧れではなく、人生をリセットするための現実的な選択肢でした。そして数ある移住候補地の中から、フィリピンが最も理想的な条件を満たしていることに気づいたのです。

フィリピンを選んだ理由
僕がフィリピンを移住先に決めた理由は、他の国にはない独自のメリットが多かったからです。「無職」という状況で再出発する上で、費用や生活の不安を極力減らせる環境が何よりも重要でした。
欧米諸国への移住を考えたこともありましたが、高い生活費とビザの厳格さが大きな壁となりました。一方で、東南アジアの他の国々も検討しましたが、言語の壁や医療環境に不安がありました。そんな中、フィリピンは僕の求める条件を最もバランス良く満たしている国だったのです。
移住を検討し始めた当初、僕は貯金が300万円程度しかなく、収入源も不安定でした。そのような状況で新しい国に挑戦するには、リスクを最小限に抑えることが最優先事項でした。
具体的な10の理由

1. 地理的に日本から近く、行き来しやすい
フィリピンと日本の距離は約3,000キロメートル。飛行機でわずか3〜4時間の距離です。LCCを利用すれば、片道1万円台の航空券も見つかります。精神的な負担も少なく、何かあった時でもすぐ日本に戻れる安心感があります。
実際に、セブパシフィック航空やジェットスター・アジアなどのLCCでは、セール時期に往復3万円台の航空券も珍しくありません。これは年に数回日本に帰国することを考えても、非常に経済的です。
また、時差がわずか1時間なので、日本の家族や友人とのコミュニケーションにも支障がありません。ビジネスで日本とのやり取りが必要な場合も、時差ボケに悩まされることなく対応できます。

2. 生活コストが圧倒的に安い
フィリピンの生活コストは日本の約3分の1から4分の1程度です。日本で月10万円かかる部屋が、フィリピンでは3〜5万円程度で借りられます。少ない貯金でも、長く生活できることが大きな魅力でした。
具体的な生活費の比較をしてみると、マニラのマカティ地区(日本でいう銀座のような高級エリア)でも、1ベッドルームのコンドミニアムが月5〜8万円で借りられます。食費は外食中心でも月2〜3万円、交通費は月5,000円程度です。
日本で月20万円の生活費がかかっていた僕も、フィリピンでは月8〜10万円程度で同等以上の生活ができることが分かりました。これにより、貯金を大幅に温存しながら新しい生活基盤を築くことができます。

3. 英語が公用語
フィリピンは世界第3位の英語話者人口を持つ国で、英語が公用語として使われています。英語が苦手でも、日常生活で通じるので安心です。フィリピンは英語学習の環境が整っており、働きながら語学力も身につけられます。
街中の看板や標識、レストランのメニューまで、すべて英語で書かれているため、生活に困ることはありません。また、フィリピン人の英語は比較的聞き取りやすく、発音も日本人にとって理解しやすいアクセントです。
語学学校も豊富で、マンツーマンレッスンが1時間500円程度から受けられます。日本で同じような質のレッスンを受けるとすると、1時間3,000〜5,000円はかかるでしょう。移住しながら英語力を向上させることで、将来的なキャリアの選択肢も広がります。

4. ビザが取得しやすい
SRRVなどの移住ビザが、他の国に比べて比較的容易に取得できます。移住における最大の壁であるビザのハードルが低いことは、大きな決め手となりました。
SRRV(特別居住退職者ビザ)は、35歳以上であれば取得可能で、2万ドル(約300万円)の定期預金で永住権を得ることができます。また、13aビザ(結婚ビザ)や9gビザ(就労ビザ)など、様々な選択肢があります。
カナダやオーストラリアなどの先進国では、移住ビザの取得に数年かかることも珍しくありませんが、フィリピンでは必要書類が揃えば数ヶ月で取得できます。この手軽さは、急いで新しい環境に身を置きたかった僕には最適でした。

5. 医療環境が充実している
マニラやセブといった大都市には、日本と同レベルの医療設備を持つ病院があります。「もしもの時」の安心感は、特に長期滞在を考える上で重要でした。
マカティ・メディカルセンターやセント・ルークス病院などは、JCI(国際病院評価機構)の認証を受けており、医師の多くはアメリカやヨーロッパで教育を受けています。また、多くの医師が英語と日本語の両方を話せるため、コミュニケーションに困ることもありません。
医療費も日本と比較して安く、海外旅行保険や現地の医療保険でカバーできます。緊急時には日本への医療搬送サービスもあるため、万全の体制で移住生活を送ることができます。

6. 親日家が多く、人柄が温かい
フィリピンは東南アジアでも特に親日感情が高い国として知られています。現地の人々のフレンドリーな国民性は、新しい環境に飛び込む上で、精神的な支えとなります。
実際にフィリピンを訪れてみると、日本人だと分かると笑顔で迎えてくれる人が多く、困っていると積極的に助けてくれます。この温かい人間関係は、孤独感を感じやすい移住初期には特に心強いものです。
また、日系企業も多く進出しており、日本人コミュニティも活発です。定期的な交流会やイベントもあるため、同じような境遇の日本人と出会う機会も豊富にあります。

7. 気候が温暖で過ごしやすい
フィリピンは熱帯性気候で、一年中暖かく、日本の寒い冬がないことは大きなメリットです。平均気温は26〜28度程度で、季節による大きな変動がありません。
寒がりの僕にとって、暖房費を気にする必要がないことは経済的にも精神的にも大きなメリットでした。また、うつ病の一因とされる季節性情動障害(SAD)のリスクも軽減されます。
ただし、雨季(6月〜11月)と乾季(12月〜5月)があり、雨季には台風もありますが、日本の梅雨や台風と比べて予測しやすく、対策も立てやすいのが特徴です。

8. ビーチや自然が豊か
フィリピンは7,641の島からなる島国で、週末には美しいビーチや自然に囲まれてリフレッシュできます。ボラカイ島、パラワン島、シアルガオ島など、世界的に有名なビーチリゾートが国内各地にあります。
マニラからセブまでは飛行機で1時間半、バギオなどの山間部へは車で4〜5時間程度です。リゾート地での宿泊費も日本と比較して安く、週末の小旅行が気軽に楽しめます。
都市部での仕事や勉強に疲れた時、すぐに自然豊かな環境でリフレッシュできる環境は、精神的な健康を保つ上で非常に重要です。

9. アジアのハブ空港
フィリピンを拠点に、他のアジアの国々に安く旅行できることも魅力でした。ニノイ・アキノ国際空港やマクタン・セブ国際空港からは、東南アジア各国への直行便が多数運航されています。
シンガポールやマレーシア、タイなどへは片道1万円台から、香港や台湾へも2万円台から旅行できます。これらの国々への旅行を通じて、アジア全体での人脈づくりやビジネスチャンスの発見にもつながります。
また、フィリピンパスポートは多くの国でビザなし入国が可能なため、将来的にフィリピン国籍を取得すれば、さらに旅行の自由度が高まります。

10. 起業・ビジネスのチャンスが多い
フィリピンは年平均6〜7%の経済成長を続けており、成長中の経済と、新しいことに挑戦しやすい環境があることは、将来の目標を考える上で重要でした。
特にIT・BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)産業は世界トップクラスで、日本語ができるフィリピン人向けの研修事業や、日系企業向けのコンサルティング事業など、日本人だからこそできるビジネスが数多くあります。
また、外国人向けの規制も比較的緩く、パートナーシップを組むことで多くの業種で起業が可能です。人件費も安いため、少ない資本でビジネスを始めることができます。

最後に
このように、フィリピンは「リスクを抑えつつ、新しい人生に挑戦したい」という僕の希望に完璧に合致していました。地理的な近さによる安心感、英語環境での成長機会、低い生活コストによる経済的余裕、そして温かい人々との出会い─これらすべてが、人生の再出発に必要な要素を提供してくれます。
移住は確かに大きな決断ですが、フィリピンという選択肢があることで、その決断のハードルは大幅に下がります。完璧な準備を待っていては、一生行動に移せないかもしれません。しかし、フィリピンなら「とりあえず挑戦してみて、ダメだったら日本に戻る」という柔軟な選択ができるのです。
今後は、このブログで移住までの過程をリアルに記録し、同じように悩む誰かの背中を押せるような情報を発信していきます。失敗も成功も包み隠さず、等身大の移住体験談をお届けする予定です。
次回は、僕がフィリピン移住に必要な「貯金額」について、具体的に計算してみた結果を公開します。ビザ取得費用から生活費、緊急時の資金まで、リアルな数字でお見せしますので、ぜひご期待ください。